東京大学の「教養教育と大学院先端研究との創造的連携の推進」の取組が、平成15年度の文部科学省「特色ある大学教育支援プログラム」に採択されました。
今年度から開始された「特色ある大学教育支援プログラム」の目的は、国公私立の「各大学、短期大学が実施している教育の改善に資する種々の取組のうち、特色ある優れたもの、特に新規性は見られなくても、真摯な教育努力を継続的に積み重ねて着実に成果を挙げているもの等を選定し、これを公共財として蓄積していくことを通じて、今後の高等教育全体の改善に活用すること」にあるとされています。
本年度、東京大学は「教養教育と大学院先端研究との創造的連携の推進」の取組を申請し、総数664件(国公立私立共同申請件数を含む)の申請の中から、厳正な審査により採択されました。
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◆ 東京大学の取組の概要及び採択理由 ◆
取組内容 |
教養教育と大学院先端研究との創造的連携の推進 |
申請単位 |
大学全体 |
申請担当者 |
教養学部長 浅島 誠
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取組の概要 |
リベラル・アーツ教育を学部教育の基礎とし、「市民的エリート」の養成を教育目標とすることを定めた東京大学憲章の下に、本学では、学部1、2年の全員に特色ある前期課程教育=教養教育を実施している。前期課程教育の実施に責任を負う大学院総合文化研究科・教養学部では、大学院先端研究を前期課程教育に反映させることにより、現代の知の領域を幅広くカバーする豊富な授業メニューを提供し、多様かつ柔軟な科目編成や指導を行うなど、高度で斬新な教養教育を展開し、「総合知」の形成と学生の一生にわたる学習への動機づけに貢献してきた。このような「教養教育と先端研究との連携」に基づく教育コンセプトとその成果は、国内外の教育現場に先見的な影響を及ぼしている。今後、「教養教育先端イニシアティブ」を実施することにより、さらに教育と先端研究との連携を推進し、教育シーズの探索と育成、教育モデルの開発を行い、他大学にも開かれた教育リソースの拡充に努める。 |
採択理由
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この取組は、「専門教育を包みこむ包括的な教育課程であり、学生の全人格的な発達と、生涯にわたる創造力の開花を促すものでなければならない」という東京大学の教養教育の理念を実現するために、50年にわたって組織的に実施され、国立大学で数少ない教養学部を持っている大学として、かつ研究大学として教養教育と大学院レベルの先端研究との連携、創造的融合において優れた特色があります。当該大学の取組が多くの大学の教養教育改革に参考となるものの、その経験が直ちに共有されることにはやや困難な面も見られますが、研究を教育にいかすという基幹大学としての責任、期待を果たしており、特に先進性という側面において優れ、実績においても優れた成果を上げています。 |
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