SWOTワークショップの提案

普段のゼミは各自の研究の進捗報告と議論ですが、これと並行して、ワークショップを開催してはどうかと思います。
従来型の発表の空いているコマにワークショップを入れましょう。
 

 

皆さんのテーマは様々なので、テーマを共有するワークショップではなく、方法を共有するワークショップです。
それぞれの研究テーマを政策志向型のパターンに持ち込むとどんなことが考えられるか?
例えば、「まち」を研究テーマをしている人は、まちづくり施策を立案する立場に立って(行政でも企業でもよい)、その計画を煮詰め、その成否や妥当性を検討するというシミュレーションを試みるというプチプロジェクトを進め、その進捗をワークショップで発表していくという次第です。

これだけではまだ絞り込みが甘いですので、当面はSWOT分析という手法を共有するということに特化したらどうでしょうか?

SWOT分析はハーバード大発のようですが、今はどのビジネススクールでも教えている基本のキのようです。
https://blog.kairosmarketing.net/marketing-strategy/swot-analysis-20131127/
例えば、行政が、若者の単身生活者増(ワンルーム化)という現象の負の側面を軽減するためにコハウジング(シェアハウス)を広める政策(規制緩和や補助金)を行うとします。
SWOTは、その政策の強み(Strengths)弱み(Weaknesses)機会(Opportunities)脅威(Threats)を見ていく分析です。
とりあえず、強み(Strengths)弱み(Weaknesses)は内生変数、機会(Opportunities)脅威(Threats)は外生変数。

たしかにこの施策は、地域社会の活性化につながる可能性をさまざまに秘めている。
が、これにはさまざまな条件(予算制約はもちろん)がかかっているわけで、その条件を洗い出して、強み弱みを分析するものです。
どんな事業も運が良ければ強みが発揮されてうまくいく、運が悪ければ弱みばかりが表に出て失敗する。
SWOTは、「運」「不運」を神さま頼みにしないで、その中身を見ていくものです。

ある意味、トヨタの「なぜなぜ5回」と同じ。必要十分条件の特定です。
うう、いかにもビジネススクールらしいですね。ネコでも経営者になれる。
でも真面目に考えると奥が深い。
←外的条件と思えるものが自分の行動に左右される、つまりここに循環があるからですね。社会学!

***Q&A***Q&A***Q&A***

Q:施策(事業)の規模=予算はどれくらいで考えればよいですか?
A:運営費(事務所の確保や事務員の人件費)は除いて、事業費として1億円を目処としたらどうでしょうか?
映画祭を複数年度にわたって行うとして、年1回2000万円くらいで考えて、5回(5年)やるとかいうことになります。
予算の確保や採算は考えなくてよいことにしましょう。
※1億円にこだわらず、目黒区(人口28万)で、生活保護費を2倍にするという施策を考えてもよいです!どれくらいの予算が必要なのかをまず調べないといけないですね。20億/年くらいかと思います。

Q:上の「循環」について説明してください。
A:パーソンズが行為(システム)は、目的、手段、環境の3つからなると説明したのは有名です。
手段は「自分が利用できるもの」、環境は「自分が利用できないもの(所与の制約条件)」だったと思います。
ところが、手段と環境の境界交換はときどき観察されることです。
例えば、ヤマト運輸の小倉昌男さん(社長・会長)。1976年に宅急便を始めると言い始めた時には、皆に頭がおかしいと言われました。
小口荷物は郵便局の小包ですら大赤字で、当時の市場や物流の状態からして、どう考えても事業として成り立つとは思えなかった。
ところが、ヤマト運輸はこれに成功して、売上高一兆円の大手運輸会社に発展した。
何が起きたかと言えば、ヤマト運輸は自ら環境を変えて行ったからです。インターネットの普及やコンビニの発展などとシンクロして、消費者の行動や意識、小売業の業態までをも変えてしまった。
当時の消費者の行動や意識、小売業の業態を外生変数(所与)と考えていた人たちにとっては、神さまのように見える所以です。
クリエーティブな人が今考えているのは、世の中を変えて行く仕掛けです。
SWOT分析はそこまで含むものなのか?たぶん違うでしょう。1976年の時点で書き出せた小口輸送事業の機会と脅威はごくごく限られたものだったろうからです。
そこまで見通せた小倉さんはやはり神さまか?それともバクチがうまかっただけか?
少なくともネコではなかった。

 まだまだ作成中