10/01/12 | 現代GP シンポジウム2009の報告書 2009年2月20日にシンポジウム2009「アクティブラーニングのための学習空間を創る」を開催し、その講演録をまとめた報告書です。 「アクティブラーニングのための学習空間を創る」報告書 |
10/01/12 | シンポジウム2009 映像配信 シンポジウム2009の映像配信を開始いたしました。 東大.TV 東京大学現代GP シンポジウム 2009 |
学生の能動性を発揮させる授業ーアクティブラーニングーを支えるために大学の学習環境はいかにあるべきでしょうか。
このシンポジウムでは、学校建築、ワークプレイスデザインの専門家から「人がよりよく活動するための空間」について、最新の事例をご紹介いただき、理想の学習空間のデザインについてディスカッションします。
教養学部、情報学環、大学総合研究センターは、文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)の取組みの一つして、2009年2月20日 (金)に本学駒場キャンパス18号館ホールにて、現代GPシンポジウム2009「アクティブラーニングのための学習空間を創る」を開催しました。
今回のシンポジウムでは、近年、大学の教育改革のキーワードの1つとなっているアクティブラーニングについて、その授業や学習活動を支えるための空間デザインの在り方をテーマに取り上げました。学校建築とワークプレイスデザインの分野から講演者を招き、人がよりよく活動するための空間を創ることに関して最新の事例をご紹介いただきました。
また、本学の取組についても報告し、講演者と共に、大学教育の中でアクティブラーニングを推進するために、学習環境デザインの観点から、どのような学習空間を創るべきかについてパネルディスカッションを行いました。大学、企業などから87名の参加がありました。
はじめに教養学部長の山影進氏より、東京大学は小宮山総長のもとで、理想の教養教育を目指して、教養教育を重点的な課題として全学で取り組んでいると話されました。具体的には、2年後をめどにして、理想の教育棟という建物を建設して、施設的にも、プログラム的にも充実する取組をしてきているとご挨拶がありました。
次に、教養学部附属教養教育開発機構教授の永田敬氏より、本シンポジウムの趣旨を説明をされました。ICTを活用した教育をすると、時間や空間を超えて、情報の共有・取得・解析をすることが可能になり、ICTを活用した教育では、教室という空間がだんだん薄れていくのではないかと感じます。しかし、実際に教育活動をしていきますと、実は空間が大事になると気がつき、違う意味で空間が見直されるべきでということに気がつきました。
今回のシンポジウムの趣旨は、学習空間として何を用意する必要があるのか、それによって教育にどんな効果があるのかをディスカッションし、大学での学習空間のあり方を考えてみることです。
本学の取組として、大学院情報学環の准教授である山内祐平氏より、東京大学での学習環境デザインについて、試行的な取組事例として、「駒場アクティブラーニングスタジオ」と「情報学環・福武ホール」の2つを紹介いただきました。はじめに、大学の変化と学習空間について、知識伝達の場から知識創発の場へと変化しており、課題を発見できる人材の育成が求められています。そのため、思考や表現など高次な能力が重視されている観点からアクティブラーニングという学習が求められ、そのための学習空間の必要性が求められているとお話がありました。東京大学の100年前の教室の写真を提示して、教室は100年間変化しておらず、ここ10年くらいで教室の変化が起きており、東京大学でも駒場アクティブラーニングスタジオや情報学環・福武ホールがデザインされています。
工藤和美氏からは、「外の教室/教室の外」というタイトルでご講演がありました。
はじめに、千葉県千葉市立打瀬小学校を建築することが、学校建築に携わることになったきっかけなったとお話をされました。打瀬小学校での建築設計を通して、Activity、Furniture、Open Airが大切だと気づいたとのことでした。その後は、「なぜ教室を豊かにするか?」ではなくて、「どれだけ豊かな学習ができる器にするのか」が大切だと考え、近年建築設計を手がけて学校を紹介されました。例えば、福岡市立博多小学校での「表現の舞台」や「ガラス張りの校長室」、福井県坂井市立丸岡南中学校の教科センター方式による教室について紹介されました。教える側の変化と学ぶ側の変化について、職員室の無い小学校のその後や教室のない学校のその後について、写真や経験を交えてお話しされました。
最後に、これまで、学校の設計をする中で、いろいろな教室を考えて来ました。でも、何々教室といった名称で呼ばれていない、議論の対象にならない場所が学校にとって大切な場所だということに気づかされました。教室の外を考える事が、まさに学習空間を考えることになっているとお話しされました。
岸本章弘氏からは、オフィスの設計の立場から「触発するワークプレイス」というタイトルでご講演がありました。はじめに、ワークプレイスを取り巻く環境として、業務の仕組み、組織構造、雇用形態、ワークスタイル、情報通信技術などが大きく変化していると社会背景をご説明されました。その変化に伴い、流動化する組織や多様化するワークスタイルにより、分散する人と仕事となり、人と空間の関係に時間と空間を共有する機会が減少する変化が起こりました。仕事内容がナレッジワークへと移行していき、分業型ソロワークから協働型グループワークへと移り変っていきました。それらの変化がもたらす影響として、オンサイトからオンラインまで人と人とのコミュニケーションが変容していき、伝統的なメディアとして機能が相対的に低下していき、人と空間の相互作用の変容していき、情報処理や協働作業に焦点が移り、オフィス内活動が多様化していきました。
まとめとして、触発するワークプレイスへの期待として、組織的な情報処理工場から、自律分散型の協働を支援する場所へと高度化するオフィスの役割が求められていることや、「オンライン」への拡張と、「オンサイト」との新たなバランスへとコミュニケーションチャネルの再編が必要なこと、オフィス空間が活動を触発し、メッセージを伝える場へと刺激し触発する環境となっていくことをあげられました。
その後、山内祐平氏のコーディネートのもとでパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、総合文化研究科の永田敬氏と東京大学学部評価員で、駒場キャンパスの計画に携わっている筑紫一夫氏にご参加いただいた。
始めにご講演者の工藤和美氏と岸本章弘氏に「大学の学習空間をデザインできるなら、どんなことがしたいですか?」という問に対して、お話いただきました。次に筑紫一夫氏に「これまでのご経験を通して、駒場キャンパスの設計で意図されてきたことは、どんなことですか?」という問に対して、駒場キャンパスでは既に建物が建っているなかでの建築計画をすることの難しさについてお話されました。永田敬氏に、「教養教育に望まれる、教育環境、学習環境とは何か?」に対して、前期課程の学生に、キャンパス内に多くの時間を過ごして欲しいとお話をされました。
本シンポジウムには87名の参加がありました。質疑も活発に行われ、パネルディスカッションでの議題を募集したところ、議論しきれないほどの議題が集まり、関心の高さが感じられました。
講演の映像は、東大TVにて配信予定です。現代GPでは2009年夏に、サマーインスティテュートをKALSにて開催予定です。最後に、シンポジウムに参加された方および準備にご協力いただいた方々に感謝いたします。
文部科学省現代GP採択取組である「ICTを活用した新たな教養教育の実現−アクティブラーニングの深化による国際標準の授業モデル構築−」のシンポジウムを開催いたします。
今回のシンポジウムでは、近年、大学の教育改革のキーワードの1つとなっているアクティブラーニングについて、その授業や学習活動を支えるための空間デザインの在り方をテーマに取り上げます。学校建築とワークプレイスデザインの分野から講演者を招き、人がよりよく活動するための空間を創ることに関して最新の事例をご紹介いただきます。
また、本学の取組についても報告し、講演者と共に、大学教育の中でアクティブラーニングを推進するために、学習環境デザインの観点から、どのような学習空間を創るべきかについてパネルディスカッションを行います。
タイトル:東京大学 現代GP シンポジウム 2009 - アクティブラーニングのための学習空間を創る -
主催:東京大学 教養学部、大学院情報学環、大学総合教育研究センター
共催:東京大学 教養学部附属教養教育開発機構
後援:東京大学 教育企画室 教育環境リデザインプロジェクト
日時:平成21年2月20日(金)14:00-18:00
場所:東京大学 駒場Tキャンパス 18号館ホール
東京都目黒区駒場3-8-1
京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩5分
・本企画の様子をビデオ・写真撮影し、広報・講演資料・現代GP報告書などに用いられる場合がありますことをご了承ください。
申込方法※既に終了しました
13:30〜14:00 | 受付開始 |
14:00〜14:15 | 挨拶・趣旨説明 |
東京大学教養学部 | |
14:15〜14:50 | 報告:東京大学における学習環境デザイン |
山内祐平(東京大学大学院情報学環 准教授) | |
14:50〜15:40 | 講演:外の教室/教室の外 |
工藤和美(建築家、シーラカンスK&H 代表、東洋大学 教授) | |
15:40〜15:55 | 休憩 |
15:55〜16:45 | 講演:触発するワークプレイス |
岸本章弘(ワークスケープ・ラボ 代表、ECIFFO 編集長) | |
16:45〜17:00 | 休憩 |
17:00〜18:00 | パネルディスカッション |
パネリスト:工藤和美 | |
パネリスト:岸本章弘 | |
パネリスト:筑紫一夫(建築家、建築都市研究所 代表、東京大学外部専門委員) | |
パネリスト:永田敬(東京大学大学院総合文化研究科 教授) | |
コーディネーター:山内祐平 |
氏名 | 経歴 |
工藤和美 | 建築家、シーラカンスK&H 代表、東洋大学工学部教授 横浜国立大学、東京大学大学院原研究室で建築を学び、スイスとオランダに研修 留学。在学中に設計組織シーラカンスを設立し、1997年には日本建築学会賞を受賞。住宅から幼稚園・消防署・美術館・学校など幅広く手がける。 |
岸本章弘 | ワークスケープ・ラボ 代表、ECIFFO 編集長 京都工芸繊維大学大学院修士課程修了後、コクヨに入社。コクヨ 株式会社、設計部門にてオフィス等のプランニングやインテリアデザイン、研究 部門にて先進オフィスの動向調査と次世代オフィスコンセプトの開発等に携わ り、91年からオフィス研究情報誌『ECIFFO(エシーフォ)』編集長をつとめる。 2007年4月に独立し、ワークプレイスの研究とデザインの分野でコンサルティン グ活動に携わっている。 |
筑紫一夫 | 建築家、建築都市デザイン研究所 代表、東京大学学部専門委員 |
永田敬 | 東京大学大学院総合文化研究科 / 教養学部附属教養教育開発機構 教授 1954年大阪生まれ.1982年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士).同大理学部助手,助教授,教養学部助教授,岡崎国立共同研究機構分子科学研究所助教授を経て1998年より現職.専門は分子科学 |
山内祐平 | 東京大学大学院情報学環 学際情報学府・准教授 1967年 愛媛県生まれ 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退 2000年 大阪大学助手、茨城大学講師、助教授を経て 東京大学大学院情報学環助教授 情報技術を用いた学習環境のデザインについて、開発研究とフィールドワークを連携させた研究を展開している。主著として「デジタル社会のリテラシー」(岩波書店)、「社会人大学院へ行こう」(NHK出版)など。日本教育工学会 研究奨励賞・論文賞受賞。 |
住所 | 〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学教養学部附属教養教育開発機構 現代GP |
TEL/FAX | 03-5465-8204 (学内内線:4-8204) |
gp@kals.c.u-tokyo.ac.jp | |
Web: | http://www.komed.c.u-tokyo.ac.jp/gendai/ |
担当者 | 東京大学教養学部附属教養教育開発機構 KALS 西森年寿・林一雅 |
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