• 5月1日 大気環境汚染が地球温暖化に影響を与える仕組み (先端科学技術研究センター 近藤豊教授)
  • 大気中のエアロゾルが地球環境に与える影響は大きい。
    近藤豊教授は「大気化学」の専門とし、長年エアロゾル研究に携わってきた。今回は特にエアロゾルが「地球温暖化」へと影響する仕組みについて、「非吸収性エアロゾル」と「ブラックカーボン」に焦点を当てて講義を展開した。
     まず近藤教授は、授業の前半で「温室効果ガス」によって地球の気温が適度に保たれていることをマクロなモデル=温室効果モデルを用いて、数学的に説明できることを紹介。そのモデルとは、地球の単位面積当たりの放射フラックスの収支を取り、温室効果ガスの有無による大気の気温の差を表現するものである。そしてこのモデルの説明から、現在の地球温暖化問題へと授業を展開した。
     特にIPCCの「放射強制力の要因・推定」のデータから、エアロゾルが地球温暖化に対して負の影響を与えている部分を強調。そして、エアロゾルには負の放射強制力(大気の温度を冷やす方向に働く力)を持つ「非吸収性エアロゾル」と正の放射強制力(暖める方向に働く力)を持つ「ブラックカーボン(光吸収性エアロゾル)」が存在することを紹介した。そして、大気汚染物質であるブラックカーボンの増加が地球を温暖化させていることを指摘。大気汚染対策の実施により、非吸収性エアロゾルの濃度低下は、温暖化を加速する可能性がある。これを防ぐためにも、ブラックカーボンの削減が温暖化を抑えるために有効であることを強調した。 。