• □2009年度
  • ○開講科目(冬学期)
  • 全学自由研究ゼミナール 月曜日 4限 514教室
  • 「エコ」をシステムで考える  山本 光夫(教養教育開発機構・特任講師)
  • 地球温暖化問題をはじめとして、環境やエネルギーの問題解決に向けての課題は多岐にわたっている。これらの解決に向けて必要なスタンスとしては、「俯瞰的」に物事を捉え、「異分野融合」で対策に取り組むことであることはよく言われる。しかしながら、環境・エネルギー問題解決に向けて、様々な事象の中から何が原因かを理解し、適切な対策をとっていくことは簡単なことではない。
     本授業においては、環境やエネルギー問題の中から「海洋環境問題(磯焼け)」と「バイオマス」を取り扱い、俯瞰的に物事を捉えた上で環境やエネルギー問題対策を考えていく方途を学ぶことを目的とする。海洋環境問題については、その起こりうる原因について生態系の観点からシステム的に捉えること、同時にその対策技術導入に向けてのシステム設計等を行うことを目標とする。「バイオマス」については、青森県鰺ヶ沢町をモデルとして、バイオマス利用の現状について理解するとともに、未利用バイオマス資源の有効利用に向けての最適設計を行うことを目指す。

  • 環境・エネルギー工学(総合科目) 火曜日 1限 1102教室
  • 環境・エネルギー問題解決への工学的実践  山本 光夫(教養教育開発機構・特任講師)
  • 現在、地球的規模で問題となっている環境・エネルギーの課題については、そ の解決に向けての国際的枠組みの協議をはじめとして、早急に対策を行うための取り組みが行われている。この環境・エネルギー問題の解決に向けては、技術開発だけでなく、政策や経済システムをはじめとした社会の仕組みなど幅広い分野で連携して推進をする必要があると言える。
    本講義は、環境・エネルギー問題解決のための技術について、その背景と開発の過程、また実際にその技術がどのように実現されていくかを、実例を通して理解することを目的とする。夏学期に開講したテーマ講義「環境・エネルギー問題解決へのビジョン〜その現状と対策技術の将来性〜」では、地球温暖化、海洋環境などの環境問題とその対策技術、バイオマス、風力、太陽電池などのエネルギー問題対策技術を、幅広く網羅する形で取り扱った。本講義では、そこで扱ったテーマの中から「中国環境問題」「海洋環境問題」、そして「バイオマス」の3つの話題を重点的に詳しく取り扱うことする。それぞれの課題に対して行われている対策技術を一つずつ紹介することを原則とし、実際の環境対策技術・新エネルギー技術開発における研究段階から実用化に向けての流れをより深く学ぶことを主眼とする。
  • 全学自由研究ゼミナール 火曜日 5限 518教室
  • 地球温暖化と経済学  山口 光恒(先端科学技術研究センター・特任教授)
  • 地球温暖化問題は人類が直面する最大の問題の一つである。しかしこの問題への対処は気象学、工学、法学、倫理学、国際政治学など幅広い学問領域が総力を挙げて取り組まない限り納得感のある解決策が得られない。こうした中にあって経済学もその一翼を担う学問である。こうした中で大切なことは対策を極限まで実施することではない。対策を打てばうつほど環境的には良いが、反面でコストが急増する。こうした中でどこまで対策を打つのが最適か、これが重要であり、経済学はこの問題を正面から取り扱っている。とはいえ現実には国際政治の中で必ずしも最適でない点に目標が定まることも多い。この場合には所与の目的を最小費用で達成することが目的となる。なぜならこれにより別の対策に比べて節約できた資源を他の重要問題に振り向けることが出来るからである。この点でも経済学は多くの処方箋を用意している。具体的には税や排出権取引といった手法を比較検討することで最善の政策を選択する手助けが出来る。2008年からは京都議定書の約束期間が始まったが、京都議定書の期間は2012年までのわずか5年間であり、既に京都議定書以後の国際枠組みの議論が開始されている。従来の公害問題と異なり温暖化問題の対策には経済成長に影響を与えるほどのコストがかかり、しかも温暖化の責任と対策の負担を巡る南北問題が絡み、更に現世代の負担で将来の損害を防止するという意味で世代間衡平性問題もかかわってくる。この授業を履修することで環境経済学のエッセンスを学ぶことが出来ると共に、現実に起こっている温暖化問題とそれに対する国際的取り組みが理解出来るようになる。授業内容はおよそ下記の通りである。これを年間を通して講義する。但し学生の興味及び理解度により適宜変更もあり得る。夏学期は第11回気候変動枠組み条約まで終了。冬学期はその続きとする。原則として、夏学期より受講継続の学生を対象とする。

       第12−13回 京都議定書
       第14−15回 議定書後の
       第16回 日本の対応
       第17−18回 技術の役割
       第19−20回 費用便益とStern Review
       第21−22回 ポスト京都議定書と日本の中期目標

    ※受講人数:20名に制限する。
  • 全学自由研究ゼミナール 水曜日 5限 516教室
  • 地球環境問題の科学と政治  米本 昌平(先端科学技術研究センター・特任教授)
  •  地球環境問題は自然科学と国際政治や産業政策が融合した、新しい形の課題である。とくに地球温暖化問題は冷戦の終焉と入れ替わるようにして国際政治の主題となってきた。だが一方でさまざまな言説が飛び交い、課題の実像が把握しにくいのも事実である。そこで本授業では、気候変動問題、越境酸性雨問題、生物多様性問題、捕鯨問題などについて一連の講義を行った後、これらに関係する重要論文・国際機関の報告書・外交文書などから精選したものを輪読し、これによって、これらの課題に関して、自らの手でアクセスし、読み、考えることができるようになることを目的とする。地球環境問題、なかでも気候変動問題、越境酸性雨問題、生物多様性問題、捕鯨問題などについて概要を講義した後、これらに関係する重要論文・国際機関の報告書・外交文書などから精選したものを輪読し、討議する。一部、外部講師による講義も行う。
    ※履修人数を20名に制限する。
  • テーマ講義 木曜日 4限 1102教室
  • 再生可能エネルギーと社会  丸山 康司(教養教育開発機構・特任准教授)
                        飯田    誠(教養教育開発機構・特任講師)
  • 環境・エネルギー問題の解決を目指した現実の取り組みを幅広く紹介し、総合的な問題解決についての提案能力を養うことを目標とする。具体的な題材としては風力発電を中心的に取り上げ、技術開発から政策まで多様な内容を扱う。環境とエネルギーの問題を解決するためには、技術と社会が一体となった総合的な取り組みが必要であり、効率的なエネルギーの利用を実現する技術開発、問題解決に資する政策・経済システムの工夫、あるいは市民の草の根レベルでの社会的仕組みの創造が必要である。だが、これらを個別に応用するだけでは現実の課題に応えるためには不十分である。例えば、新たな技術の開発と導入に解を求めるとしても、完全な技術は存在せず、政策・市場・地域社会との整合性が課題になる。こうした相互規定的な関係を踏まえた上での対策を構想する統合的なアプローチの必要性を理解し、実践での応用に触れながら理解を深めていく。テーマに応じてゲストスピーカーによる講義を行うオムニバス形式で行う。具体的には以下のような構成で実施する予定である。

    1. ガイダンス
    2. 温暖化問題の解決に寄与する再生可能エネルギー
    3. 風力発電導入における電力会社の取り組み
    4. 風力発電のビジネス(事業者の立場から)
    5. 風力発電のビジネス(大型風力発電メーカの立場から)
    6. 風力発電のビジネス(小型風力発電メーカの立場から)
    7. 生物多様性と環境問題
    8. 風力発電と自然保護
    9. 風力発電におけるリスクマネジメント
    10. エネルギー問題と市民参加
    11. 環境NGOと社会イノベーション
    12. 自治体における環境エネルギー戦略
    13. 全体のまとめ
  • 全学自由研究ゼミナール 木曜日 6限 1101教室
  • 環境問題の情報収集  丸山 康司(教養教育開発機構・特任准教授)
                   山本  光夫(教養教育開発機構・特任講師)
                   飯田    誠(教養教育開発機構・特任講師)
  • 環境問題に関する情報の集め方と使い方を学習する。環境問題でしばしば論争になるのは、何が原因で、どのようなことが起こっており、どのような対策をとればよいのかという問題である。地球温暖化問題はその典型であり、相矛盾する情報が錯綜しているような状況もある。このため「正しい」情報や答えを求めたくなる場合もあるだろう。このことを踏まえると、むしろ情報との付き合い方が重要となる。そのために必要な、相対的に信頼性の高い情報の集め方や、集めた情報の使い方についての技能を身につける。だが、環境問題は時間的にも空間的にも大きな拡がりの中で発生しているため、情報の精度には限界がある。また複雑な要因が絡み合って発生しているため、唯一の正解が見つからない場合もある。つまり「正しい」答えを求めても報われない可能性が高い。講義では、最初に概論的講義を行い、その後は自己学習を中心とするディスカッション形式のゼミを行う。講義、自己学習、グループディスカッションのサイクルを1ユニットとし、これを複数回行う。各ユニットでは具体的なテーマを設定し、それについての情報収集を行う。現段階では

    ・地球温暖化に関する情報の不確実性
    ・環境エネルギー問題を解決する技術
    ・再生可能エネルギーの社会的受容性

    などを想定しているが、参加者の希望に応じたテーマ設定も歓迎する。
  • 全学体験ゼミナール 集中講義 教室はシラバス参照
  • 地域再生とエネルギー  丸山 康司(教養教育開発機構・特任准教授)
                     飯田    誠(教養教育開発機構・特任講師)
  •  環境・エネルギー問題に取り組む地域の現実に触れ、環境問題の解決と地域社会の活性化との関係を把握する。具体的には、青森県鰺ヶ沢町での取り組みを視察し、再生可能エネルギーの利用が地域社会にどのような影響を与えているかを理解することを目的とする。 環境とエネルギーの問題を解決するための様々な取り組みが始まっているが、実際には様々な課題があり、設備の導入のみに終わっている例も多い。その一方で、技術と社会が一体となった総合的な取り組みを進め、これを地域の活性化と結びつけている試みもある。成功例は数としては多くないが、自然エネルギーの利用を実現する技術、政策・経済的な仕組みの工夫、あるいは市民の取り組みが一体となって進められている地域もある。こうした取り組みが実際に行われている現場を訪問し、持続可能な社会についての理解を深めることを目的とする。講義では、 2泊3日の集中講義形式で、青森県鰺ヶ沢町を訪問し、風力発電やバイオマスなどの取り組み現場を視察する。また、関係者への聞き取りなどにより、現状と課題などについての理解を深める。この地域の風力発電は、市民出資型という方式で進められており、建設費用は一般市民や地域住民から広く募集されている。さらに、出資者と地域社会の結びつきを深めることによって、広い意味での地域活性化につなげようとしている。バイオマス事業では、リンゴの剪定枝を利用するというユニークな取り組みが行われている。利用方法についても工夫されており、ストーブやボイラーの燃料の他、堆肥や炭にすることによって、農業でも利用されている。その結果、全体的に合理的な資源利用が実現している。こうした取り組み以外のものも含め、再生可能エネルギーの利用と地域活性化の結びつきについての理解につとめる。
    ※履修人数を20名に制限する。