• 5月20日 ライフサイクルアセスメントの重要性と展開 (東京大学大学院工学系研究科 平尾雅彦教授)
  • 物質や製品が環境へどれくらいの負荷を与えるのか――原料から加工されて製品となって使用され、リサイクルを通して最終的に廃棄されるまでの一生をライフサイクルと呼ぶ。このライフサイクルにおける環境への負荷を定量的に評価する手法がライフサイクルアセスメント(LCA)である。
    平尾教授の専門は「ライフサイクル工学」。

       ”環境によい技術”をどのように評価するのか
       “環境によいシステムをいかに設計するか

    をテーマに、「PETボトルのリサイクル技術」および「水素燃料自動車」を例として、授業が展開された。
     「PETボトルのリサイクル技術」では、PETボトルのライフサイクルを上流から下流工程に至るまで、写真やグラフ、そして図を豊富に用いて説明がなされた。特に「PETボトルのリサイクルは環境への負荷を減らすのか」との問題提起に基づいたPETボトルのLCAについて、日本国内でリサイクルする場合や海外に輸出してリサイクルする場合などのシナリオを設定して評価した例を紹介。リサイクルの有効性を検討するためにCO2排出量、化石資源消費量で評価した結果が示された。
     一方で、「水素燃料自動車」の例では、自動車の環境負荷の評価にあたっては、自動車を製造するにあたって発生するCO2、また自動車が走行する際に排出されるCO2のトータルの排出量を考慮する必要性があることを強調した。そして、走行時の環境への負荷が非常に少ない水素燃料自動車の有用性について言及がなされた。
     本授業は、多様な地球環境問題と技術の連関を考えるにあたって、LCAによる評価とデザインが特に重要であることを示したものであった。