• 5月27日 地圏環境問題と土壌・地下水汚染のリスク評価 (産業技術総合研究所 駒井武 副研究部門長)
  • 陸域を中心とした領域である地圏環境は、特に人間生活と関係が深いと言ってよい。その中でも土壌や地下水の汚染は、日本をはじめ世界各国で問題となっている。駒井武副研究部門長は、地圏環境を評価する研究グループの中心者として、土壌・地下水汚染の科学的知見、環境影響予測および対策技術に関する研究を行っている。授業では、その研究成果の中から次のトピックスが紹介された。

       ・日本における土壌汚染の実態
       ・アジア諸国の土壌・地下水汚染
       ・土壌汚染の調査とリスク評価
       ・土壌汚染のリスク管理・ガバナンス
       ・地圏環境評価システムの開発

     この授業においては、日本やアジア諸国の土壌や地下水汚染の実態とその対策やリスク評価方法について、豊富なデータや写真を用いて説明がなされた。その中でも特に重要な内容としては、「環境リスク評価」や「環境リスク管理」についての議論である。前者では、基準値やガイドラインを基礎にした評価だけではなく、生起確率や潜在性などのリスク管理の必要性が述べられ、後者では、リスク評価をもとに対応する施策を決定する際に健康リスクや費用対効果も考慮した管理が必要であることが強調された。また、「安心」と「安全」の違いから、多様な参加・コミュニケーションに基づく、「環境ガバナンス」の必要性についても言及がなされた。本授業は、土壌・地下水汚染の話題から「リスク評価」についての本質が示されたものと言える。