• 6月24日 「風力エネルギーの利用技術と将来」(東京大学教養学部 飯田誠特任講師)
  •  自然エネルギーを利用する風力発電は、化石燃料を使わないクリーンなエネルギーとして期待されている。飯田誠特任講師は、これまでいくつもの風車の設計を手がけてきた風力エネルギーの専門家である。本授業では、専門家としての幅広い知識をもとに、風力発電に関する基礎知識と技術・社会動向が紹介された。
     講義では、エネルギーに関する豊富な資料を基にした現状と持続可能な生長を阻む要因(環境制約・資源制約・物質循環制約)についての解説がなされた後、持続社会構築のための物質・エネルギー生産体系設計の基本思想として下記の4つが示された。
     まず大前提として風力エネルギーは、

       ・温室効果ガスを殆ど排出しない
       ・化石燃料の節約になること
       ・エネルギーセキュリティー的にも国産エネルギーで優れていること
       ・新たな産業と雇用を生み出すこと

     が特長であることが確認され、問題点は存在するものの有効な新エネルギー源であることが強調された。その上で、紀元前までさかのぼり、欧米諸国を中心に発展してきたという風力発電の歴史や、風車の様々な形体についても紹介された。
     また、風車の仕組みついても説明がなされた。風車は、ヨットと同じ原理で動作し、風を検知して最適な発電をするように各種制御を行っていること、その上で発電効率向上と安定化のために、まだ多くの技術課題があることが示された。さらに風車の課題についても言及。飽和状態にある欧州市場やモンスーン地域での風車設置の難しさとともに、地域社会や自然との共生との観点での難しさなどを紹介した上で、有益な風力エネルギーの更なる普及のためには多くの分野との連携を行うことが必要であることを強調した。