- 07月08日 「持続可能社会と燃料電池技術」(東北大学大学院工学研究科 古山通久助教)
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水と酸素の電気化学反応によって、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池技術は、発電効率が高く、エネルギー変換過程ではCO2を排出しないことからクリーンなエネルギーとして研究開発が進められている。古山通久助教は、これまで一貫して燃料電池に関連した研究に携わってきた燃料電池技術の専門家である。
授業においては、エネルギー問題・技術の全般を俯瞰した上で、2050年における持続可能な電気エネルギー供給についての展望を示し、将来に向けた燃料電池技術の有用性を解説。そこから燃料電池の特長と原理、燃料電池を導入するために行われている研究・検討についての説明がなされた。
さらに、燃料電池の中でも固体酸化物燃料電池研究の現状を示しながら、その社会導入のシナリオについて研究成果で得られた結果が紹介された。また特に強調された点としては、ビジョンとシナリオの違いであった。ビジョンは将来のあるべき姿を示したものであるのに対し、シナリオはビジョンに向けた対象の時系列的変化である。固体酸化物燃料電池の社会導入には、化学の知識を背景としたシナリオ作成が必要不可欠であることが強調された。このことを踏まえ、最後に一般的にエネルギー問題解決技術導入をする際には、定量的な議論を行った上でロードマップを作っていくことが重要であることが述べられた。