• 10月23日 「地球環境問題の解決に寄与する再生可能エネルギー」(足利工業大学 牛山 泉学長)
  • 21世紀の世界の5大問題として、人口問題、食料問題、環境問題、資源問題、エネルギー問題が挙げられる。世界人口が増加するにつれエネルギーの需要も高まり、そのために化石燃料が大量に消費されてきた。しかしそのことが原因となり、地球環境破壊や化石燃料枯渇といった問題が起きている。日本においては、石油がエネルギー消費構成の約半分を占めているが、石油の埋蔵量は41年と推測されており枯渇の危機にある。また日本のエネルギー自給率は4%と非常に低い数字であることも問題である。環境保全、エネルギーセキュリティー、経済効果に貢献可能なものとして、自然エネルギーが期待されている。
  • というイントロダクションに始まり,本講義では,自然エネルギー全般に関する説明をしていただいた。
  • 自然エネルギーの一つである風力発電は、世界的に導入が進んでおり、世界の風力発電設備容量は年々増加している。またドイツでは国内8%、デンマークでは国内20%を風力発電でまかなっている。これらの国では、固定価格での買い取り等の政策が風力の普及に大きく貢献している。日本もこれに倣い、自然エネルギー普及のための政策をこれまで以上に推し進める必要があると考えられる。2020年までに全世界の電力の12%を風力発電によりまかなうという目標(WIND FORCE 12 (EWEA))が取り決められており、今後はオフショア風力発電や都市型風力発電など、風力発電のさらなる導入が期待される。
  • 次に太陽光発電について、太陽光発電は日本やドイツなどを筆頭に年々導入が進んでいる。太陽電池による電力を超電導ケーブルで世界中を連係させる世界的太陽光発電システム(GENESIS)という計画案もあり、実現に向けた取り組みもなされている。
  • バイオマスエネルギーについて、バイオマスとは化石燃料を除く生物資源(草、木、生ゴミ、汚泥、糞尿)のことであり、これらを発酵、精製することで自動車用燃料などに利用することが可能である。
  • この他にも、水力、地熱、海洋エネルギーで発電するシステムもあり、それぞれで技術開発が進められており,足利工業大学における、風力発電、太陽光発電、バイオマスを組み合わせたトリプルハイブリッド発電システムについても紹介がされた。気象条件等による発電量の変動にも対応することが可能である。 持続可能な社会のために、これまでの化石燃料に依存した文明から再生可能エネルギーによるエネルギー栽培型文明へと転換することが急務である。と熱いメッセージをいただいた.   (レポート担当:工学系研究科修士2年 金沢真吾)