• 11月20日 「風力発電の魅力(持続可能な社会実現のために) 」                            (ユーラスエナジーホールディングス 中村成人常務)
  •   再生可能エネルギーとは、自然に由来する無尽蔵なエネルギーのことを指す。日本では、新エネルギーという言葉もあり、これは、再生可能エネルギーから、大規模水力・波力発電・海洋温度差熱発電を除いたものである。様々な新エネルギーがあるが、今後、どのようなエネルギーバランスにしていくのか、長期需給見通しなどが新エネルギー庁のホームページに掲載されている。風力は再生可能エネルギーのうちの一つである。再生可能エネルギーの長所としては、国産エネルギー・クリーンなエネルギー・枯渇することがないという点が挙げられる。短所としては、エネルギーの量(発電量など)が変動するということが挙げられる。先進国で再生可能エネルギーの導入が進んでおり、この中で、風力発電の意義・位置づけとしては、化石燃料の代替エネルギーの中で、現段階でコスト・技術・環境の点に関して他より可能性があり、地球温暖化防止策として二酸化炭素削減の有力手段であり、国産エネルギーとして安全保障の選択肢の一つとなると考えられる。これは、発電システム別の、生産から撤去するまでの二酸化炭素排出量が、風力発電は材料の加工や建設時のみに排出されるのみで大変少ないこと、風が吹く原因は、大気の温度差・地球の自転であり、風資源は無尽蔵であることから言える。風力発電事業を成り立たせるためには、6.5m/s以上の安定した風・国政府の長期の導入目標と支援制度・整備された電力系統が存在することが必要である。ユーラスエナジーグループはアメリカ・アジア・欧州と展開しており、最初はアメリカでの風力発電事業から始まったが、近年アジアでの発電事業が伸びてきており、太陽光発電所も韓国で建設している。全体の規模としては、世界の風力発電事業者の中で、電力会社を除けば2位である。風車発電機メーカーは、日本では三菱重工が伸ばしているが、まだTop10には入っていない。 との紹介があった。

    世界の風力発電導入量は20年間にわたって20%の成長を遂げており、風力発電以外に類を見ない成長率であり、このような成長は、今後10年程は続くであろう。日本では、近年、風力発電に適した土地がなくなってきたこと、電力網の系統連係の問題から近年導入がとどまっているが、今後進む2010年300万KWの目標はいずれ達成できると思われる。
    二酸化炭素排出量のうち、エネルギー起源は93%であり、その中でも、輸送、電気、家庭の割合が大きい。持続可能な社会実現のためには、国際エネルギー機関(IEA)は、エネルギー安全保障、気候変動への対処が必要であり、2050年には、二酸化炭素排出量を現在の半分以下に削減、生活の質は維持・改善、電力生産は炭素フリーまたは低炭素技術が中心とする必要があると述べている。これに対応するため、石炭石油火力から、ガス火力への切り替えが進み、再生可能エネルギーの導入が進められるだろう。
    日本に関しては、新・国家エネルギー戦略として三つの目標を掲げている。また、風力発電ロードマップからも、2020年には全風力発電の約2/3を洋上でまかなうことを目指しており、これから風力発電は洋上へ出て行く必要があると言える。

  •  社会活動から見た三大要素として、食糧・エネルギー・情報通信は欠かせない。また、これからのエネルギーのあり方、使い方については、省エネ・効率の良い技術の活用と開発が必要で、再生可能エネルギーの活用など、エネルギーのベストミックスを心掛け、必要なコストは国民全体で公平に負担すべきであるということが議論されている。
  •                 (レポート担当:工学系研究科修士2年 喜多 成充)