東京大学現代GP サマーインスティチュート 2009

開催報告!

 平成21年8月25日(火)に、KALSにて、「東京大学現代GPサマーインスティチュート2009」を実施しました。本イベントは、これまでのKALSの取組みについて、モデル授業の概要や実施上の課題や工夫などをお伝えし、次に、参加者自身の関係する授業に関して、アクティブラーニング型の活動の導入を計画していただくというワークショップを行うものでした。大学教員、大学職員、大学院生、社会人など19名の方にご参加いただきました。
 はじめに、主催者である西森より、本イベントの企画趣旨とともに、KALSの設備紹介や展開されている授業の紹介を行いました。
 次に、参加者全員に簡単な自己紹介を行っていただきました。みなさま、新しい授業の方法として、アクティブラーニングへの高い関心をお持ちのようでした。
 

Lecture

 続いて、西森が1時間程度のミニ講義を行いました。まず、アクティブラーニングの定義について整理し、講義中心の授業での双方向性の確保なども含む、広義な意味でのアクティブラーニングを本GPでは志向してきたことを説明しました。次に、調査や討論、発表などのアクティブラーニングと呼ばれるような活動が、どのような意味で学習の質を高めうるのかについて、学習科学におけるMarcia Linnの「知識統合」の概念などに依拠しながら、仮設的なモデルをもってアイデアが語られました。さらに、そのモデルに準拠した形で、「PRSを使って相互評価を行う」「PRSを使って理解度を確認する」「ホワイトボードで意見を比較する」「実験」などのKALSでよく行われている活動パターンを取り上げ、それぞれが学習にどのような意味を持っているのか、実施の際にどんな点に配慮すればより効果的になると考えられるのかなどが、運用上のtipsとともに述べられました。最後に、アクティブラーニングを実施する際に、机や椅子の配置などの教室環境の準備が大きな意味を持っているということが述べられました。
 
Workshop

 15分の休憩後、2〜3名で6つのグループが構成されました。グループには、何らかの授業の全体あるいは一部にアクティブラーニングを導入して、その授業のイメージを描いてみるというタスクが与えられました。何人くらいの学生で、どんな環境で、どのような活動を行い、どんな効果が見込まれ、どんな評価を行うのかなど、思いつく範囲でイメージを記述していただきました。各グループからは「学生が相互に教授しあう授業」「自分を紹介するホームページの作成」「PRSをつかった質問活動を埋め込んだ絵画の紹介活動」「ロールプレイをとりいれた科学技術者倫理教育」「プログラミングの授業で評価活動に参加させる」「実際の都市計画問題に取り組む学習」といったアイデアが生まれました。
 1時間ほどの作業の後、お互いのアイデアを壁に掲示し、ポストイットでコメントを交換していただきました。不明な点、参考になった点などを交換し、最後に各グループからまとめのメッセージをいただいて会は終了しました。
 ワークショップでは参加者のみなさまに大変熱心に取り組んでいただきまして、活発な意見の交流が行われ、たくさんのアイデアが創発された時間となりました。ご参加のみなさまには改めて感謝申し上げます。   

Reflection
     

発表資料

  趣旨説明 西森年寿 [PDF:853KB]
  

  

開催趣旨

 現在、日本の大学教育では、アクティブラーニング、ラーニングコモンズなどのキーワードを中心に、学生の主体的な学習活動の支援に主眼をおいた、ICTを活用したフレキシブルな教室・学習空間の構築への関心が高まっています。しかしながら、学生の主体性を支援するという方向は、従来のシステムからの大きな転換も含んでおり、新たな空間を準備した上で、実際の教育活動をどう設計し、運用していくかなど、未知の課題を生み出しています。

 東京大学KALSでは、2007年度秋より、現代GPの支援を受け、ICTを活用したアクティブラーニング型のモデル授業の開発に取り組んでおり、教養教育でのアクティブな学習活動の実践や、それを支えるためのツールの整備や運用ノウハウの蓄積などを行ってきました。今回、この現代GPの事業の一環として、サマーインスティチュート 2009を実施します(昨年度のイベントの様子はこちら)。

 本イベントでは、まず、これまでのKALSの取組みについて、モデル授業の概要や実施上の課題や工夫などをお伝えしたいと思います。次に、参加者自身の関係する授業に関して、アクティブラーニング型の活動の導入を計画していただき、そこにICTやフレキシブルな学習空間がどのように活用できるのかなどを検討するワークショップを行いたいと思います。

 このイベントを通して、全国の大学で同様の課題に取り組む人々の間での情報交換を活性化し、学生の主体的な学習を支援できるような大学教育の変革に向けて課題を整理できればと思います。

概要

東京大学 現代GP サマーインスティチュート 2009

主催:東京大学 教養学部、情報学環、大学総合教育研究センター
共催:東京大学教養学部附属教養教育開発機構

日時:2009年8月25日(火)13:00-17:30
場所:東京大学 駒場キャンパス 17号館2階駒場アクティブラーニングスタジオ
   東京都目黒区駒場3-8-1
   京王井の頭線「駒場東大前」下車徒歩5分

参加対象
・全国の大学教職員のみなさんや、小中高の先生がた、その他この分野に関心のある方
・本企画では、ワークショップで実際に授業案を計画していただきますが、もし特に自分で計画するべき授業案がないようでしたら、その旨、申込みフォームにお書き下さい。その場合は、他の人とグループを組んで一緒に計画していただくなどの参加の仕方をしていただければと考えています。

申込方法
・終了しました。
申込みウェブフォーム
・参加無料、ただし事前登録制(定員40名 / 残席があれば当日参加も可能です)

プログラム予定

13:00〜13:30受付開始
13:30〜14:00企画説明・自己紹介
14:00〜14:30【講義】KALSにおけるアクティブラーニング型の授業づくり
14:40〜16:30【ワークショップ】アクティブラーニング型授業づくり
16:30〜17:30ディスカッション

お問い合わせ先

東京大学教養学部教養教育開発機構 現代GP
email : gp@kals.c.u-tokyo.ac.jp
tel : 03-5465-8204
担当者:西森・林

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