• □2009年度
  • ○開講科目(夏学期)
  • テーマ講義 月曜日 2限 1102教室
  • 環境・エネルギー問題解決へのビジョン〜その現状と対策技術の将来性〜  山本 光夫(教養教育開発機構・特任講師)
  • 大気中の温室効果ガスの増加による地球温暖化問題をはじめとして、環境・エネルギー問題の解決は人類にとって最重要の課題の一つとなっている。これらの課題に対して、我々はどのように取り組んでいけばよいのか、また我々の立場でどのように貢献していけるのか。大学生の時代にその現状に触れ、環境・エネルギーの諸問題について考えていくことは重要であると考えられる。本授業においては、環境・エネルギー問題の現状を正しく理解し、その対策技術について研究開発における最新の話題を学ぶとともに、将来の展望について考えていくことを目的とする。授業は、環境・エネルギー問題に関して、地球温暖化から大気、海洋といった環境の諸問題とその対策例を取り扱い、そこからエネルギー問題へと進む。エネルギー問題の現状と展望についての全体像を示した後、期待される再生可能エネルギーの各話題に関して、最前線の研究開発現場で活躍する大学・企業の若手研究者による講義を行う。具体的には、下記のテーマを取り上げる予定である。
  • 1.地球温暖化問題と科学
  • 2.温室効果ガス削減へのシナリオ
  • 3.大気環境汚染と地球温暖化
  • 4.化石燃料燃焼による大気環境汚染
  • 5.地圏環境問題と環境リスク評価
  • 6.海洋環境問題と持続可能性を志向した環境対策技術
  • 7.エネルギー問題の現状と展望
  • 8.バイオマスエネルギー
  • 9.風力エネルギー
  • 10.太陽光エネルギー
  • 11.水素エネルギー(燃料電池)
  • 全学自由研究ゼミナール 火曜日 5限 518教室
  • 地球温暖化と経済学  山口 光恒(先端科学技術研究センター・特任教授)
  • 地球温暖化問題は人類が直面する最大の問題の一つである。しかしこの問題への対処は気象学、工学、法学、倫理学、国際政治学など幅広い学問領域が総力を挙げて取り組まない限り納得感のある解決策が得られない。こうした中にあって経済学もその一翼を担う学問である。2008年からは京都議定書の約束期間が始まったが、京都議定書の期間は2012年までのわずか5年間であり、既に京都議定書以後の国際枠組みの議論が開始されている。従来の公害問題と異なり温暖化問題の対策には経済成長に影響を与えるほどのコストがかかり、しかも温暖化の責任と対策の負担を巡る南北問題が絡み、更に現世代の負担で将来の損害を防止するという意味で世代間衡平性問題もかかわってくる。こうした中で大切なことは対策を極限まで実施することではない。対策を打てばうつほど環境的には良いが、反面でコストが急増する。こうした中でどこまで対策を打つのが最適か、これが重要であり、経済学はこの問題を正面から取り扱っている。とはいえ現実には国際政治の中で必ずしも最適でない点に目標が定まることも多い。この場合には所与の目的を最小費用で達成することが目的となる。なぜならこれにより別の対策に比べて節約できた資源を他の重要問題に振り向けることが出来るからである。この点でも経済学は多くの処方箋を用意している。具体的には税や排出権取引といった手法を比較検討することで最善の政策を選択する手助けが出来る。この授業を履修することで環境経済学のエッセンスを学ぶことが出来ると共に、現実に起こっている温暖化問題とそれに対する国際的取り組みが理解出来るようになる。
  • ※受講人数:20名に制限する。
  • 全学自由研究ゼミナール 水曜日 5限 518教室
  • 環境の世紀15 〜地球と水〜  瀬川 浩司(先端科学技術研究センター・教授)
  • 現在、地球環境問題は危急の課題であると認識され、その解決に向けた努力も、グローバルな国際協力から地域や一企業の試みにまで及ぶ。環境問題は、多様な学問的・実際的立場から様々な価値づけや意味付け、アプローチがあり、解決にはそれらを総合的に判断する必要がある。しかし巷では、特定の利害を背景とした一面的な主張が大きく取り上げられたり様々な立場での様々な主張が立ち並ぶだけでそれらの比較議論の場が無く、教養学部生を含めた一般の人々には、多様な視点から環境問題を捉え、考え、議論することの難しさや面白さを感じる機会が十分に整っていないのではないだろうか。学生が企画立案する今年度の全学自由研究ゼミナール「環境の世紀15」は、このような考えから、「水」を主な切り口として「環境問題」を学び、考え、ともに議論することで、受講生一人ひとりが環境問題の自分なりの見通しを得ることを目標とした試みである。また、その過程で情報リテラシーや論理的思考力、自己表現力、コミュニケーション能力など、様々な社会的スキルの向上をも目指す。本講義では、以下の講義を予定している。
  • 第1回.環境三四郎、花木啓祐(東京大学工学系研究科)全体概要説明と環境問題概論
  • ◆第一部「水からみる国際社会」(第2回〜第5回)
  •  沖大幹(生産技術研究所)水問題概論 ほか
  • ◆第二部「水からみる食糧」(第6回〜第9回)
  •  杉浦未希子(共生社会基盤形成を通じた国土の保全管理学寄付講座)
  •  山岡和純(同)農業用水から見た食糧問題
  •  川島博之(農学生命科学研究科)食糧問題 ほか
  • 第10回以降はワークショップを予定している。
  • 東京大学の環境サークルである「環境三四郎」が企画立案する「環境の世紀15」の担当教員は、瀬川浩司教授(先端科学技術研究センター)と飯田誠特任講師(教養学部附属教養教育開発機構)である。
  • 全学自由研究ゼミナール 木曜日 3限 512教室
  • 小型風力発電を通じて環境エネルギーを考える−2  飯田 誠(教養教育開発機構・特任講師)
  • 再生可能エネルギー(主に太陽光、小型風力発電)を題材に環境エネルギーを考える授業である。太陽光や風力発電機は、太陽の光や風をエネルギー源として発電を行う機械で、発電時に温室効果ガスを排出しない環境負荷の小さい発電機として、注目を浴びている。風力発電においては、従来、コストの面などから直径数十mにも及ぶ大きさの大型風力発電機が、発電風車としては主流であった。近年、技術の進展により発電用高効率小型風車が登場しつつある。また、太陽光についても同様に世界トップレベルの技術を日本は持っているといえる。しかしながら、自然の太陽や風をエネルギー源としているため、適切な場所に設置しなければ、その機能を十分に活用することはできない。本授業では、自然エネルギーシステムを適切に利用するための基礎知識・技能を習得することを目標とする。また、本ゼミナールは木・5に開講予定の「環境エネルギー科学基礎概論」の実践版を予定しており、理解を深めることも目標としている。
  • 全学自由研究ゼミナール 木曜日 4限 512教室
  • 環境エネルギーゲーミング  飯田 誠(教養教育開発機構・特任講師)
  • 環境・エネルギー問題をテーマにしたロールプレイを行う授業である.環境・エネルギー問題の解決には幅広い知識ととともに,それぞれの立場,波及効果を理解することが重要である.本講義では,世界各国の教育現場で活用されている環境・エネルギー問題をテーマにしたロールプレイゲームを用い,立場・波及効果について理解を深める.
  • 人間・環境一般 木曜日 5限 512教室
  • 環境エネルギー科学基礎概論  飯田 誠(教養教育開発機構・特任講師)
  • 科学技術とは、自然科学分野の領域として捉えられることが多いが、実際には歴史的・社会的背景にもとづく技術研究開発、制度化、国際標準化、社会性など、社会科学分野と密接に関係している。本講義では、このような異分野に跨る問題の代表例として、環境・エネルギー問題を取り上げ、この問題に取り組むため、理解するための基礎概念、方法論について考える。環境・エネルギー問題およびその周辺技術は、未だ産業界・学術界においても一つの方向性に集約されていない。それは、地球温暖化をはじめとする環境問題が不確かな要素が多く、また解決策の一つとして風力発電・太陽光・バイオマスなどで代表される再生可能エネルギーシステムが未だ発展途上の技術・社会システムだからである。本講義は、実際の具体的な事例を紹介しながら、システム開発、導入、運用のそれぞれのフェーズにおいて、課題、考え方などについて技術開発、制度、政策、経済システム、国際的、社会的な取組みについて考え、環境・エネルギー問題を解決していくために必要な視点を身につける。
  • 地球環境論 木曜日 5限 1331教室
  • 環境問題と社会の仕組み  丸山 康司(教養教育開発機構・特任准教授)
  • 本講義の目的は、環境問題の解決を持続的に行うために必要な社会的仕組みを明らかにすることである。環境問題の解決は今後の社会のあり方を左右する課題であり、その重要性に対する疑問は少ないであろう。その一方で、日本におけるエネルギー消費量は高い水準に留まっており、現在でも上昇傾向にある。こうしたことから、環境問題に対する人々の意識をさらに高めることによって、問題解決を図ろうというメッセージを目にすることも多い。だが、環境問題は必ずしも人々の無関心によるわけではない。問題は、解決過程における多様な主体の利害の齟齬である。環境負荷を低減させる際には、経済的負担や行動の抑制を巡る課題が発生することが多く、環境主義的な意識変革のみで問題が解決することは希である。問題は、環境問題の解決という社会全体の利益と、現実社会の個々の局面における各主体の利害とを整合的につなげる社会の仕組みである。現在の社会の仕組みの中では、環境に配慮しない行動が「得」になることが多い。逆にいうと、環境への負荷を下げることが「得」になるような選択肢や、その選択を促すような社会の仕組みが必要となる。以上のように、様々な社会主体が環境問題に対して抱く問題意識や重み付けは多様であることを前提とした上で、本講義では環境負荷を削減する取り組みを非規範的かつ非強制的に進めるための社会の仕組みを明らかにする。具体的には、経済的メリットや社会貢献など、多様なインセンティブを設けることによって、多様な主体の行動を誘発しようとしている諸事例を対象とし、その詳細を明らかにする。効率的なエネルギーの利用を実現する技術開発、問題解決に資する政策・経済システムの工夫、市民の草の根レベルでの社会的仕組みの創造といた多様な事例を取り上げながら、持続可能な社会が備えるべき諸条件も明らかにする。
  • 全学体験ゼミナール 木曜日 6限 1103教室
  • サステナブルなキャンパスを構想する  丸山 康司(教養教育開発機構・特任准教授)
  • 環境・エネルギー問題の解決を目指した現実の取り組みに触れながら、総合的な問題解決についての提案能力を養うことを目標とする。
  • 環境・エネルギー問題の解決を目指した現実の取り組みに触れながら、総合的な問題解決についての提案能力を養うことを目標とする。環境とエネルギーの問題は今後の社会のあり方に大きく影響を与える課題として人々の関心を集めつつある。その一方で、二酸化炭素排出量をはじめとして環境負荷そのものは現在も上昇している。こうした現象の理由の一つは、総合的な問題解決の欠如である。環境・エネルギー問題を解決するためには、技術や政策など多様なアプローチが必要となる。だが、これらを個別に応用するだけでは現実の課題に応えるためには不十分であり、個々の対策の特徴を踏まえた上で、これらを整合的に組み合わせる必要がある。このことを踏まえ、授業では統合的なアプローチの必要性への理解を深め、それを実践に応用する方法を構想する能力を養成する。具体的には、駒場キャンパスでの環境負荷を減らすためのプロジェクトを企画・実行し、その過程の中で問題解決に必要なセンスを養う。※履修人数を30名に制限する。
  • 全学体験ゼミナール 金曜日 5限 518教室
  • 「海の森」再生の最前線を体験する  山本 光夫(教養教育開発機構・特任講師)
  • 環境・エネルギー問題の解決を目指した現実の取り組みに触れながら、総合的な問題解決についての提案能力を養うことを目標とする。
  • 日本や世界各地の沿岸海域において、海藻の群落が衰退または消失する「磯焼け」と呼ばれる現象が生じており、魚介類の減少など深刻な問題を引き起こしている。その原因については様々考えられているが、磯焼け問題の解決のために、多くの対策が試みられている。コンブなどの海藻類は二酸化炭素固定効果も期待されており、衰退した海藻群落の再生は単に海洋環境改善と水産資源の回復に留まるだけではなく、地球温暖化問題解決へ寄与できる期待がある。この磯焼け回復に向けて、北海道日本海側にある増毛町では、特に海水中の溶存鉄の不足に着目し、工業副産物である製鋼スラグと未利用バイオマス(腐植物質)を用いた磯焼け回復への実証試験が行われ、現在その継続的な効果が確認されている。本ゼミは、北海道増毛町にて開講する。実際の磯焼け現場と磯焼け回復実験が行われている海域を視察し、磯焼け回復への取り組みに触れることを通じて、一般的に環境問題解決のためにはどのようなアプローチが必要なのかを学ぶことを目標にする。※受講人数を20名に制限する。※開講期間:8月上旬を予定。詳細はガイダンスにて説明する。
  • ※ガイダンス:4月20日 6限に106教室で行う
  • ※開講場所:北海道増毛町